介護の現状と改革の必要性
急速な高齢化、2.5人に1人が高齢者の時代へ
高齢化が進む日本において、2011年時点で、5人に1人が65歳以上の高齢者と言われています。2060年には、2.5人に1人が高齢者、うち1割が認知症を発症することが見込まれています。介護を必要とする高齢者の方々は年々、増加しています。今後もこの勢いは止まらず、社会としてどう見守っていくかが課題です。
特養への入所待機者は52万2千人
厚生労働省で2014年3月に行った集計によると、全国の特別養護老人ホーム待機者は52万2千人。5年前の調査から約10万人も増加しています。特別養護老人ホームの利用者数は約52万人とされており、利用者とちょうど同じくらいの人が入所できずに待機しています。また、内訳を見ると、常時介護が必要な寝たきり・認知症などの要介護4~5の方が多く、そのうち在宅の高齢者は8万7000人。入所に対する緊急性が高いにもかかわらず入居できるわけではない、厳しい現状となっています。
また、2015年4月に施行された介護保険法の改正により、特養への新規入所が、原則として「要介護3以上」に限定されることになりました。入所希望者の35%程度を占める要介護1〜2の約18万人は新規に入所できなくなります。
介護施設の建設費用の4分の3をまかなっていた国の補助金が2005年に廃止されたことから、地方自治体の負担も重くなっており、新しい施設の建設は難しく、また、2015年の介護報酬改定においては、特養の介護報酬は5%以上も減少。介護療養型医療施設(介護療養病床)の全廃、医療保険型療養病床(医療療養病床)の削減による特別養護老人ホーム移行希望者も増えており、自治体も介護施設を抱えきれないというのが実状です。
年金では十分な介護が受けられない今までの現状
国民年金並みの低価格で入居できる介護施設となると、「サービス付高齢者向け住宅」、「ケアハウス(軽費老人ホーム)」、「特別養護老人ホーム」など受け皿が極めて限られているのが今までの現状です。
2015年1月20日に放送されたNHKクローズアップ現代「”無届け介護ハウス”急増の背景に何が」では、身寄りがなく、年金受給額の制約から、認可を受けた介護施設に入ることができず、やむなく“無届け介護ハウス”を利用する高齢者が紹介されました。スプリンクラーなどの消火設備もなく、通常の民家に所狭しと並んだベッド、プライバシーの確保もままならない施設の実態が描きだされました。
2010年に厚生労働省の老人保健健康増進等事業により実施された調査「特別養護老人ホームにおける待機者の実態に関する調査研究事業 〜待機者のニーズと入所決定のあり方等に関する研究〜」では、利用者の家族が特別養護老人ホームに期待するものとして、「いつも見守っていてくれる」「最期までいられる」についで「料金が安い」ということが挙げられています。
介護施設利用希望者が求めていることは、「安心、安全、低価格」です。ご家族の介護負担軽減と要介護認定者の尊厳を第一に考えた施設づくりが求められています。当社では、365日24時間対応で、低価格でありながらも、心のこもったケアを行うことは可能であり、その仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。これが、当社が提案する介護老人福祉施設の新たな形です。
医療連携の必要性
2011年にみずほ情報総研が行った調査では、2010年1年間で、医療依存度の高い要介護の方で多機能化サービス利用を希望している人のうち、8.8%の人が、医療サービスがないために利用登録に至らなかったという調査結果が報告されています。8.8%というとわずかな数字に思われるかもしれませんが、日本全国では膨大な数の人が、医療サービスがないために入居できないという困難に直面しています。(2011年にみずほ情報総研が行った調査では、全国の介護老人保健施設3,735施設から無作為抽出した2,000施設を調査対象としました。有効回答のあった791事業所(新規登録希望者9,697人)で集計しています。)
さらに、医療サービスが必要でなくても利用登録を断念した方の理由を見ていくと、
- 利用料が高かった
- 定員が一杯だった
- サービスエリア外だった
などがありました。
このような調査結果から、昨今の要介護高齢者は
- 医療サービスのある介護施設へのニーズは高く、現実には入れない人がいる。
- 実際の利用にあたっては料金もネックになってくる。
ということが分かります。
当社では、誰でも利用できる価格で医療サービスを提供する画期的な施設を展開しています。医療サービスが無いと入れないという方々のための施設として、医師、看護師などが地域で連携できるシステムを築き、心からのケアを提供していきます。